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林家ぼたんのブログ

~落語と講演 Peony~

感謝すべき相手が生きているうちにできることをする

カテゴリ / ぼたんのつぶやき
2020.01.21

感謝すべき相手が生きているうちにできることをする
師匠の亡くなった17日は「呼吸が弱くなっているからもしかしたら」と娘さんから連絡を受け、すぐに駆けつけました。それから3時間ほど見守っていましたが、昼すぎになり、娘さんがデリバリーのお弁当を用意してくれました。師匠のお女将さんが「先に食べなさい」とすすめてくれたので、私が「お先にいただきまーす」娘さん達が「どーぞー」と応えてくれたその時、師匠は亡くなりました。お孫さんが「あれ?」と気づいて、みんなで「またまた〜」と疑っていたのですが、今回は息を吹き返しませんでした。人に弱さを見せるのを、よしとしない師匠でしたから「みんなに見つめられてたら向こうに行きづらかったのかな?」と娘さんたちと話しました。ですから、苦しんだり、ひとりぼっちだったりすることなく、泣き笑いであちらの世界に旅立てたのではないかなと思います。
皆様におかれましては「突然の訃報」だと思いますが、私にとっては17年間いつあってもおかしくない訃報でした。
入門して2年目に師匠が倒れ、それから一年近く、病名が分かりませんでした。入院していた女子医大にはご家族の他、私、辞めた姉弟子、兄弟子がローテーションで病院に詰めました。自宅療養になってからも、合併症で何度も命の危機がありました。
それでも復活し、師匠は都電落語会や新潟の営業、24時間テレビなど、可能な限り、人前に出ることを望みました。私はそういう時に、髭を剃ったり、着物を着る手伝いをしたり、車椅子をおしたりしただけです。空いている時間に師匠のうちの草むしりをしたり、障子を張り替えたり、大掃除しただけです。師匠の介護の一番の功労者は師匠の三女さんだと、お伝えしたいです。報道はされていませんが一番尽くしていらっしゃいました。
私は介護を何にもしていない人と比べたら「やってる」けど、介護を本当にしている人と比べたら「やっていない」レベルです。ただ、私は私のできることを全てやりました。だから今は清々しい気持ちです。
よく人が亡くなった時に後悔ばかり述べる方がいますが、私からすると、恩返しするチャンス、感謝の気持ちを伝えるチャンスはいくらでもあったと言いたいです。感謝したい人がいる方は今すぐにでも伝えた方がいいですし、してあげられることがあれば今すぐにでもした方がいいと思います。