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林家ぼたんのブログ

~落語と講演 Peony~

牛歩の如く

カテゴリ / ぼたんのつぶやき
2019.11.26

今日は笛のお稽古でした。あまり上手くはないけれど、やっと形になってきたきがする。自分の上達は牛歩レベルだなぁと思います。

お稽古場の協会事務所前にはチラシの入ったラックがある、たくさんのチラシ、二ツ目という後輩のチラシが多い。彼ら彼女らのプロモーションのうまさを見て、自分のやり方は間違っていたのかな?と自問することがある。

僕は私は上手いです!って広告(紙のチラシ、SNSなど)の仕方が主流になっている。落語がうまそうな写真を使ったチラシ、二ツ目なりたてで大きな会場をかりて有名なゲストを呼んで、という方法。しかし、15年前、あの時はそういう雰囲気でなかったし、自分もそれをよしとしなかった。自分の理想の高座(口演)と、現実の差を自分が一番知っていたし、謙遜ではなく、いち落語ファン、演芸ファンとして客観的に自己評価したつもりだ。もっと世間にアピールすべきだったか?今でも「YouTubeで動画配信すべきだ」「御社のプロモーションを代行しますよ」とか色んなお便りがくる。善意のお便り、営業のお便り問わずいただく。私がその中で感じた事は、YouTubeなどの動画コンテンツの消費速度と芸の上達速度が違いすぎること。一瞬で消費されるコンテンツを連発するなんてせわしないなと。今の状態はこうですって割り切って発信できればよいのだろうけど、私はそういうタイプではない。

中学生の頃からプログラミングをして、これからはITの時代がくると思い、工業高校で情報技術を勉強し、これからはAIの時代がくると思い、大学のゼミは人工知能の研究室に入った。テクノロジーの進歩はワクワクしたけど、早すぎる。だから落語家になった。落語の舞台は古き良き日本。江戸の人情、懐の深さに惹かれて落語を選んだ。その根本は不動だと思う。時が経っても変わらないものが落語だけど、それを観るお客様の消費速度は、どんどん早まっている。それはテクノロジーの進化の速度と比例していると思う。

色々なご意見ご感想あると思いますが、私は牛歩のごとく進みます。

もし、これをお読みの方で、日々の生活に「自分は要領が悪いなぁ」「コツコツと確実にやっているのに、あまり評価されていないなぁ」「中身のない薄っぺらいものの方が良いワケ?」と思ってらっしゃる方がいたら「私はあなたの味方です」と言いたい。人知れず努力したり、人の役に立ったり、そういう人を応援します。要領の良い人、自己アピールの上手い人が取り沙汰される風潮ですが、コツコツ続けられることは才能です。そういう人に気付ける人間でありたいです。